Diary 2009

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蓮 2009.7.3 (Photo by OLYMPUS PEN E-P1)


7月29日(水)


好かれてもないのに好きなのはつらいものだ。何度も嫌いになろうとしたけれど僕は出来なかった。そのうち目が覚めるだろうけれど、恋を患っている間は、歌うしか精神の置き場はない。

7月21日(火)


風邪が治らず、ずっと寝込んでいた。本番でせき込んだらどうしようと心配したが、無事に歌えてホッとした。外苑前Z・imagineにて水橋春夫君と初めてのライブ。『赤色のワンピース』『君をさらって』『風月堂』『この道』『しだれ柳』『埋葬』『My R&R』など、選曲は水橋君。

決して昔の音を再現しようなんていうつもりはないのだが、『われた鏡の中から』などを演奏していると、当時が蘇ってくる。僕らは18歳で出逢い19歳で別れた。それぞれ別な道を歩んだが何も変わっていない。相変わらずわがまま、人からものを教わるのが苦手、すべて自己流だ。
見に来てくれたお客さんありがとう(アンケートも大切に読ませていただきました)。水橋君、また、やろうね。

7月16日(木)


「愛は伝染する」沖縄ツアーに向けて『伝染新聞』(第1号)が発行された。那覇桜坂劇場にて配布している。お近くの方は寄ってみて下さい。

伝染新聞 第1号(表) 伝染新聞 第1号(裏)

7月15日(水)


月曜日水橋君とリハーサルをやってから喉が痛く、治らないので病院へ。大好きな点滴を打ちに。川上未映子さんの小説「群像2009年8月号」掲載『ヘヴン』を読む。「従ってるだけじゃないんだよ。受け入れてるのよ」というセリフが頭から離れない。

点滴 2009.7.15

7月14日(火)


美容院で初めてパーマをかける。軽くかけたので違和感なし。機嫌よくなり、御成通りの食器屋さんに入り、家庭を持つわけでもないのに、コーヒー茶碗やガラス製のコップ数点求める。
その後、自分のミスでMacと格闘。疲れたので、くわしく書けず。

海浜公園の馬 2009.7.12

7月12日(日)


ぴょんぴょん跳ね過ぎたせいか、腰が痛くて、「せっちゃん」のところへマッサージを受けに。すると「私最近、携帯で早川さんのブログ読むの楽しみにしているんですよ」「えー、携帯で読めるんですか?」「もう面白くてー。部屋探しの話とか、普段の早川さんそのままなんだもの。合コンの話も、女の子のことばっかり」「わー、ばれちゃってるんだ」

「書くときって、サーって書くんですか」「いや、下書きしてから。更新したあとも直すくらいで」「アンケート全部早川さんが打ち込んでいるんですか?」「うん、選ぶのは失礼だから、目がショボショボ」「そういうところはマメなんですね。女の子にマメにならなくちゃ」「そうだよね。エネルギー使うところ間違っているよな。今回はお休みにしよう」

「一日のアクセス数ってわかるんでしょ」「いや、僕の場合はわからない。初めからそうしてないの。今すごいらしいね、どのサイトから訪れたかがわかるシステムもあるらしいよ。ミクシィっていうのも足跡がつくでしょ。長所は短所でもあるよね」

一通だけアンケートを紹介。
「『純愛』から『パパ』への流れが一番濃かったです。いやらしさ爆発のあとの『この世で〜』は美しかったです。今回は20代の友人を連れ拝見しました。何度も、早川さんの音楽は若い人にこそ聴いてほしい。光で覆い隠しても、握った拳に影はできるというか、希望には絶望がつきまとうような、そんな悲しさが切なさになって生きる悶えになるような、そんなライブでした。怖くて正視できませんでした」(福岡・I.T)

7月9日(木)


大分から羽田へ。新見さんは、楽器を積んで車移動。(あとで聞くところによると、新見さんは別府で温泉を三軒はしごし、大分からフェリーに乗船、神戸から東京に戻ったそうだ)。お疲れさま。僕は飛行機の中でもノートパソコンを開き、佐久間さんから手ほどきを受ける。手持ちのUSBメモリーまでいただき、至れり尽くせり。羽田に着くと佐久間さんはすぐGLAYのレコーディングスタジオへ直行。

僕は家でさっそく、MacとWindowsの画面を見比べる。僕のトップページに愕然とする。Macでは完全に文字化けしている。悲しい。今までずうっとこんな状態だったとは、まったく知らなかった。文字化けを直すには、表示→テキストエンコーディング→日本語(Shift JIS)を選択すればよいと佐久間さんから教わったが、毎回この操作をするのは面倒だ。

佐久間正英さんのHP、7月9日のComments欄に、「参りました」と書きこむと、親切な方がいらして、対策方法を教えてくれた。結局、僕のHPの作り方が悪かったせいだ。指摘された通り、headとtitleの間にmeta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=Shift_JIS"を全ページに入力したら、文字化けしなくなった。感激。

それにしても、WindowsとMacは、えらい違いだ。まず書体が違う。僕のHPでいえば(フォントを指定していないからだと思うが)、Windowsでは書体が全部ゴシックだ。Macでは主に明朝体である。やはり、見慣れると、文章は明朝体の方がキレイだ。Macはゴシック体もキレイ。

これから、同時に使っていけば、どちらが使いやすいか、どちらが賢いか、はっきりするだろう。MacBookは(Windowsのノートパソコンもそうかも知れないが)少し暗いと、キーボードの裏からバックライトが光る。スリープ状態の時は本当にすやすや眠っているようにランプが点滅。磁気によるコネクタの接続など、さりげなく細かい配慮がある。第一印象、「Windowsは製品、Macは作品」という差があった。

大分空港フライト待ち。新見知明さん、佐久間正英さん、手に持つはもちろんiPhone。

ツアーを主催してくれたbigmamaの阪田健一さんから、メールが届いていた。
「昨日も遅くまでほんとに有難うございました。今回、bigmamaとしてはご一緒にステージに立つことは出来ませんでしたが、早川さん、佐久間さん、新見さんにはほんとに色んなものをいただきました。そして色んなことを教わりました。昨晩のねいろやさんでのステージ中、中盤あたりで涙がぼろぼろ出てきて、『こんな姿、AJIには見せられない』と一旦外に出て気持ちを落ち着かせてたりしてました。そして店内に戻るとAJIがぼろぼろになってました。
やはり、僕たちはみんな同じ気持ちなんです。宅嶋もベッドの上で、吉田も福岡で全く同じ気持ちだったと思います。お渡ししたCD、そんな早川さんが大好きな僕たちの歌が入ってます。是非、一度聴いてみて下さい。そして、宅嶋が早川さんへの思いをブログに書いてました。一度覗いてやって下さい。http://ta94ma.jugem.jp/ もういちど・・・本当に有難うございました。」

7月8日(水)


佐賀に続いて今日の大分も、僕と佐久間さんは初めて。途中、湯けむりのすごいところがあって、「あそこが湯布院かな? あー死ぬまでに一度は行きたいなー。でも独りで行くところじゃないよね」「そうですねー」。

会場の入り時間まで余裕があったので、ホテルのロビーで3人でMacを広げる。佐久間さんが「iChatのやり方教えてあげるね」「えっ、どういうこと?」「テレビ電話みたいに、相手の顔を見ながら、会話が出来るの」「えー? 文字を打つんじゃなくて? すごいことになっているんだね。教えて」「あっ駄目だ。.Mac (ドットマック)に入ってないんだもの。ビデオチャットが出来ないや。いやだな、貧乏人は」。

ホテルのロビーで3人Mac Mac楽しい。(photo by sakuma)

その後、今度は音楽の授業。「たとえば、日記なんか悪口は書けないじゃない。浮かれた話は、ああそうかい良かったねと言われそうだし。暗いのは迷惑。説明文や理屈っぽいのは鬱陶しい。意味不明は書く意味がない。わかり切ったことは書く必要がない。となると日記に何を書いたらよいかわからなくなってしまうところがあって、それと歌詞が出来ないというのと僕はつながっているんだよね。あのことは歌ったし、このことも歌ったし。コード進行も同じ手は使いたくない。自分の好きなコード進行ってあるんだけど、新曲を作ろうとすると、あっこれはもう、一度使ったなと思うと、作れなくなっちゃう」

「いや、同じ内容でもいんじゃないかな。好きだとか逢いたいとか、同じことを歌っても、違う相手なんだから。それと、同じコード進行を使ってもいんじゃないかな。違うコード進行を探す方が難しいよ。ブルースなんか、みんな同じコードじゃない。それなのに、ものすごい数の歌がある。それでいんじゃないかな」「あーそうか。毎日歯を磨くように、毎日同じことを繰り返しているんだものね。同じでいいのか。うーん、特別な発見がなくてもいいのか」

仕事中の新見知明さん

大分ねいろやにて「フィードバックは身体を通せ」九州ツアー最終。終わってから、「やればやるほど良くなっていくね」と佐久間さんに話しかけると、「うん、そうだけど、だんだん、テンポが遅くなっていく」「えっ、あっそう、気づかなかった」。新見さんは「決して悪くはないんですが、ゆっくり過ぎると、ピーンと張り詰めた緊張感がなくなりますよね」。みんな細かくて厳しい。

打ち上げで。オープニングアクトYa-chariさんのギターを弾く方から、質問があった。「あのシンセサイザーの音はどこから出ているんだろうと、早川さんの手元をずうっと見ていたら、早川さんは何も触っていない。やはり、佐久間さんが出しているんだと思ったんですけど、あれはどうなっているんですか?」「あれはギターシンセではなくて、ハーモナイザーなんです」と、僕には意味不明な会話が続く。

終演後、佐久間さん、二宮綾子さん、阪田健一さん、うしろの女性お名前忘れたすいません。

7月7日(火)


佐賀駅に3時待ち合わせ。ホテルから、小雨降る中、今日の会場へ。浪漫座は元銀行だったところ。天井が高く、グランドピアノは優しくうっとりする音。初めて弾くBoston Piano。佐久間さんのこの場所はエレキを強烈に弾く雰囲気じゃないという判断で、激しい曲はやめることにした。佐賀に住んでいらっしゃるみやこさんから事前に美味しいお店(「おひさま」「春駒」)を紹介してもらっていて、お菓子もいただく。沖縄、久留米でお逢いしたミチロウさんの大ファンしずかさんも聴きに来てくれた。「数と波と虹と 2009-07-07」の方も。ありがとう。

七夕の願いごと 佐賀浪漫座のボストンピアノ リハーサル前の佐久間正英さん 華月祥さんと

7月6日(月)


今日はお休み。それぞれ自由行動の日。毎日顔を突き合わせていると飽きるという配慮から。とにかく別行動。翌日、どのくらい面白かったか、どのくらいつまらなかったかを、競い合うことになっている。

昨日、佐久間さんに「どうするの?」と訊いたら、「韓国に行こうかな」、「茨城よりも何もないところ行きたい」、「レンタカー借りる手もあるな」とか、すごく楽しんでいる様子。新見さんは、朝電話したら、山口方面に向かっていますだって。いったいどこへ行くんだろう。

僕は何も考えてこなかったので、昨日、小倉フォークビレッジでPAをしてくれた岡本さんお薦めの嬉野温泉にした。伊万里、有田にも近いし(焼き物を持って帰るわけにいかないが)。ネットで調べると、案外と遠い。行き方が3通りくらいあったが、電車にした。列車の中で、初めてノートパソコンを開く。テキストに日記の下書き。独り旅も初めて、今回は初めてづくしだ。小倉→博多→肥前山口→武雄、そこからバスで30分。嬉野温泉、着きました。

列車の中、ノートパソコンを膝に乗せ

嬉野温泉の観光案内所でちょっと愛想のない方と相談後、勧められた旅館へ。3時前だけどチェックインできるとのことだったので、のんびり、街を歩きながら着くと、「あら、もういらしたの。今、お風呂工事してて、トンカントンカン音がするから、ちょっと、街でもぶらぶらしてきたらどうかしら」「いや、疲れているからいいです。お風呂は夕方には入れるんでしょ」「ええ」「それならいいですよ。それと、『どこでも入浴優待券』で、他の旅館のお風呂に入れるって案内所で聞いたんですけど。先にそっちに入りますから」「そうですね。では、ご案内します」と2階へ。

窓を開けると、さわやかな風が入ってきて、気持ちよかった。しばらく、外の景色を写真に撮ったり (それほどの景色ではなかったが)、入れてもらったお茶を飲んだり (お茶は美味しかった。お茶が名物らしい)、ノートパソコンをいじったり、ごろっと横になっていると、たしかに、トンカントンカン音が聞こえてくる。厭な予感。

「そろそろ、お風呂に行かれた方がいいと思うんですけど。混むといけないので」「そうですね。案内所の写真で見た○○館の露天風呂に行こうかなと思うんですけど」「そうですね、近いですし。でも、あそこは、ふつうのお風呂ですよ。私は□□館のお茶風呂をお薦めしますけど。ここから、あの建物が見えるでしょ。お茶風呂はあそこ一軒だけですから。足湯があったところから橋を渡って」「そうですか。なら、そこにしようかな」。

嬉野温泉は「日本三大美肌の湯」が謳い文句だ。うーん、なんとも言えず。夕飯は意外とまあまあだった。炊き込みご飯、天ぷら、お刺身(お刺身続きだな)。「お風呂、男湯は工事中だから、女風呂に入って下さい」「えっ? いんですか」「えー、今日は女性のお客さんいませんから」。うわー、寂れた旅館。つげ義春と東海林さだおと僕を足して3で割った世界。

そのうち、隣の部屋から、図太くて(話の内容はわからないけれど)よく響く低音の男の声。どうしてお客さんが少ないのに、隣合わせなんでしょう。なかなか寝付けず。眠剤を服用し、誰もいない女風呂に再度入浴。これは、みんなに報告出来ないなと思いながら寝た。

お茶風呂に入りました。侘しい。

7月5日(日)


入院中の宅嶋さんのところへお見舞い。足を怪我し、でも他は元気だから、さぞかし、居ても立っても(立てないけど)居られないわけで、どう言葉をかけてよいものか、「一番楽な姿勢でいて下さい」ぐらいしか言えなかった。明日、手術とのこと。再会を約束して記念撮影。

宅嶋淳さんの病室で記念撮影

小倉に行くにはまだ早い。新見さんが「どうしましょう、明日の自由行動に向けて、観光案内所でも寄ってみましょうか」と提案。博多駅近くを車移動している時、ヨドバシカメラが見えたので、「あっ、寄ってみたい」と僕が言うと、佐久間さんが「Macでも買いますか」と。「あっ!そうする! 初期設定してくれるよね」「もちろん」「ということはインターネットもメールもすぐ使えるわけ?」「簡単」「わーい」

今使っているWindowsがいつ壊れるかわからないので、今のうちにMacを使えるようにしたかったのだ。ところが、また新たに使い方を覚えるのかと思うと憂鬱で、踏み切れなかったのである。ところが今回は、佐久間さんが数日間付いてくれているわけだから、すごい安心感。佐久間さん推薦のMacBook ProとAirMac Expressを購入。

昼食を食べながら、「これでやっと共通言語になりますね。今までWindowsのこと聞かれても、いったい何を言っているんだかよくわからなかったから」と新見さん。さんざん僕は音楽仲間から「えー、Windows使っているの?」とバカにされていたのだ。「あれは電卓だよ」とか、「Windowsの良さをいくら探しても一つも見つからないんだよね」などと。たしかに、そうなのかも知れない。さんざん使っといて僕まで悪口を言うのはルール違反だが、今までに原因不明で3回壊れ取り換えている。「ようこそ」の書体からして、愛着が持てないのだ。

「でも、ホントにMacって簡単なの?」。すると新見さん「私10数年使ってますが、一度も具合悪くなったことがないんですよ。ウィルスソフトは入れなくてもMacは自然とよけてくれますし」「えー? ウィルスバスター入れなくてもいいの?」「入れる必要ないです」「でも、五郎ちゃんに聞くと、Macもトラブル起きるって言ってたよ」「それは、五郎さんの人生がトラブル続きなのであって、Macのせいじゃないですよ」「そのセリフ、いただきましょ」「早川さん、日記に書くのやめて下さいよ。オーバーに書くんだから。『早川さんの奥さんて頭おかしい人なんですか』なんて私言ってませんから。そう思っただけで」

ホテルの一室で、設定完了

ホテルに着き、さっそく佐久間さんに設定してもらう。家でのAirMacの使い方も、初歩的な操作も教えてもらった。ほんの数分。いよいよ僕もMacユーザー。

小倉フォークビレッジは久しぶり。小野さんが快く迎えてくれた。アップライトピアノの音もいい。今日だけ、草音楽の主催ではない。bigmamaの阪田さんが聴きに来てくれた。「昨日はスタッフとして動いていたから、ちゃんと聴けなかったもので」「ありがとうございます」「宅嶋、見舞いに来てくれて喜んでいましたよ」「あー良かった」。福岡、小倉、いい人がいっぱいだ。

小倉フォークビレッジを終えて小野さんからのご馳走

7月4日(土)


羽田で佐久間正英さんと待ち合わせ福岡まで。福岡空港では新見さんがお迎え。新見さんは前日から機材を積んだ車で移動。九州ツアー初日は福岡ドリームボート。競演は、秋山羊子さん、bigmama。ところが、bigmamaのリーダー宅嶋淳さんがツアー直前、左足踵を骨折、手術を含め2週間の入院生活になってしまった。

そもそも、九州に僕らを呼んでくれたのは、草音楽の宅嶋淳さんで、宅嶋さんとしては、非常に悔しい思いのはず。他のメンバーの方たち、阪田健一さん、AJIさん、吉田泰教さんは、今回ステージには立たず、裏方に徹し、きびきびと動いてくれて、気持ち良かった。彼らの「1%」という歌の通り、その素朴さに好感をもった。

多くの人たちに聴いてもらいたいという気持ちからなのだろう、福岡は「1000円+投げ銭」という料金設定。大丈夫なのだろうかとこちらが心配してしまう。あたたかい拍手。終わってからのご馳走。打ち上げで、阪田さんの彼女が可愛いから、ふざけて「後悔してないの?」って訊いたら、「いいえ、結婚しているわけじゃないですから」とあっさり答えが返ってきた。その後、3人で屋台、小金ちゃんへ。焼きラーメンと焼酎。熟睡。

中央、bigmamaのAJIさん bigmamaの阪田健一さんと彼女 秋山羊子さん

7月3日(金)


偶然、7月2日付の佐久間正英さんの日記と中川五郎さんの日記に僕の名前が出てきた。どちらも女性に関することだ。佐久間さんの日記は、不意に僕の名が出てくるから笑ってしまった。

中川五郎さんは、高樹のぶ子著『うまくいかないのが恋(幻冬舎)という本についてで、さぞかし面白い本だと思ったら面白くなかったと書かれてあり、困ったなー、僕も面白いと思ったわけじゃなくてと弁解したい気持ちを抑えながら読んでいたら、最後はわかってくれたので、良かった。やっぱり、わかりあえる友だった。

なにしろ、生まれてこのかた僕は人の悪口を言ったことがないから、作品をけなせないのである。唯一、あの本の中で気になったのは、「男性は、一つひとつの恋愛を別のフォルダに残して大事にしますが、女性は、今までのものを全部消去して上書きします」という個所だ。実際どうなのかはよく知らないが、なるほどと思った。男性は過去の女性一人一人を思い出せるが(引きずっているが)、女性は今の彼だけしか見えず過去の男性は消えてしまっているらしい。

そのあとも恥ずかしいことに、ある有名作家の恋愛指南書を手にしたが途中で投げ出してしまった。「同時に複数の女性を追い求めなさい」と書かれてあり、(一理あるかも知れないが)あきれかえり、すごく不潔に感じた。

「何言ってるの早川さんだって、奥さんがいるのに他の女性を好きになって」と反論があるかも知れない。しかし僕は、常に一人しか愛せない。妻に書いた歌は一曲しかない。40歳過ぎたころ、『屋上』『花火』『君のために』を家でどんなものか聴かせた時、めずらしく「私のも作って」と甘えたから、しかたなく、『赤色のワンピース』を作ったまでで。(その後の『純愛』などすべて他の女性に対してです)。

ところが、たまにライブの選曲で『赤色のワンピース』歌おうかななどと相談すると、「それ甘ったるくてつまらない。『犬のように』とかそういう激しいのにしなさい」と注意を受ける。そして、こうも言った。「言っときますが、私、あなたが死ぬ時、一緒に『♪赤色』なんて歌うつもりないですから」。別に嫌われているわけではない。他の夫婦とちょっと違うのである。

五郎ちゃんが日記の最後に書いたくれた。「早川さん、もうすぐうまくいきます。きっとうまくいきます。」と。優しいねー。元気づけてくれて。恋愛のハウツーものなんか読んだって何の役にも立たないことはわかってるんだけど、つい。お互いの欠点までも心から愛しいと思える人と出逢える日がきっと来るよね。それまで頑張ろう。

かつて五郎ちゃんも日記で紹介していた、『求めない』の著者加島祥造さんが老子の世界「道(タオ)」へ入ったのは、60歳近くで恋愛をし思いっきり振られたことも影響していることを新聞記事で知り、そうかと思ったことがある。僕も早くこういう境地に達せられたらと思っている。

求めない すると いまじゅうぶんに持っていると気づく
求めない すると それでも案外 生きてゆけると知る
求めない すると ちょっとはずかしくなるよ あんなクダラヌものを求めていたのか、と
求めない すると 心が静かになる
求めない すると 自分にほんとに必要なものはなにか 分かってくる
求めない すると 求めないほうがはるかに面白くなる
求めない すると「自然」になる だって自然はひとに 求めないからだ!
一切なにも求めるな、と言うんじゃあないんだ どうしようか、と迷ったとき 求めない と言ってみるといい。 すると 気が楽になるのさ。
『求めない』(小学館)より

7月1日(水)


たましいの場所(晶文社)Amazon中古商品を開いたら、29980円というのがあった。なぜ定価より高いのかと思ったら、著者サイン入りだった。そんな……。サインならいくらでもいたしますので、ライブ会場でお声かけて下さい。

鳥越俊太郎「自分には覚悟、人には優しさだよ」(毎日新聞2009.6.25「がんを生きる」)


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