とびひ と 皮膚の消毒


全国各地から梅雨入りの知らせがとどくようになってからも、真夏のような暑さが続いています。

いよいよ「とびひ」の季節がやってきます。

とびひは「伝染性膿痂疹」とも言い、黄色ブドウ球菌とか連鎖球菌などによって引き起こされる皮膚の比較的表在性の感染症です。

主に子ども、3歳児に最も多く、それも湿疹体質とかアトピー性皮膚炎をもった子どもに好発しやすい病気です。

皮膚は弱酸性の皮脂で覆われていて雑菌が繁殖しにくくなっていますが、汗をかくと皮脂の働きを弱めて菌も繁殖しやすくなります。

 夏は半そで、半ズボン姿で露出部分が広く、あせもや虫さされ、すり傷など、とびひの下地となりやすい皮膚の変化が多い上に、集団生活においてもプールとか、子ども同士が肌を触れ合う機会が少なくないので、ついつい「とびひ」が広がりやすいようです。

 最初は赤くなった皮膚の一部に水疱(みずぶくれ)ができますが、十円玉くらいの大きさになった薄皮はやわいためにすぐに破れて、じゅくじゅくしたビラン状態になります。この中にはブドウ球菌や先に述べたような菌がいっぱい存在しているため、とびひに触った手でほかの皮膚、特に湿疹や虫刺されなどの部分などに触れるとそこに新しい「とびひ」が発生する仕組みになっています。これが「とびひ」の名前のゆえんです。

適当な治療により、数日間でじくじくべたべたした部分は次第に乾燥し、かさぶた(皮)を形成して治っていくことでしょう。

 とびひの治療でいつも悩むのは、患部の消毒や手当て、お風呂に入ってよいかどうか、シャワーをしてもいいか、プールはどうか、抗菌剤内服の必要性はあるかなどといったことです。

とびひのごく初期とか、かさぶたになった時期にはシャワーで洗い流して清潔にすることは間違いではないでしょうが、入浴は他人への感染を広げることや、汚れの少ないお湯に入れるかどうかでも傷の治りに影響するようです。

 入浴、シャワー反対派の言い分は、入浴後の消毒や処置が家庭では十分にしにくくて不完全になりやすいという理由を上げる人が多いようです。時期を選び、上手にシャワーを使った上で処置を適正に行なえば治癒を早めることも期待はできるのでしょうが。

 とびひに限らず、傷の手当てで問題になるのが、「消毒せず、乾かさず」という、従来の常識では考えられなかった新しい治療法の登場です。

消毒したり、ガーゼで覆うと傷の治りがかえって遅れるというのです。

傷は水道水でよく洗い流し、皮膚に食い込んだ砂粒などは丁寧に除去した後、清潔なティシュペーパーなどで傷を押さえ、傷の乾燥を防ぐように清潔なラップで覆っておくと、確かに、傷はより早くきれいに治るようです。

 消毒は細菌の増殖を抑えはするかもしれませんが、皮膚の細胞や再生力まで損ない、ガーゼは、交換のたびに再生しかかった皮膚組織まではがしてしまうので却ってよくないようです。

病院には傷の乾燥を防ぐ専用の被覆材が用意されていますが、家庭ではかわりにラップを利用すれば十分に役に立ちます。