身近な法律のアドバイザー
北村和幸行政書士事務所
高齢者やこれから高齢期を迎える方、 高齢者を支える家族の方々に参考になります様、
成年後見制度・任意後見契約・高齢者の財産管理などの様々な問題について掲載しております。
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成年後見制度と高齢者の財産管理について

■「成年後見制度」とは何ですか?

「成年後見制度」とは、精神上の障害により判断能力が不十分であるため法律行為を行うための意思決定が
困難な者について、その判断能力を補うための制度です。
未成年者も同様に判断能力が不十分ですが、未成年者については、親権者がそれを補い、親権者がいない
場合は、後見が 開始され未成年後見人が補います。この未成年後見制度とは区別し、精神上の障害により
判断能力が不十分な者の判断能力を補う制度は、成年を対象とするため、成年後見制度といわれます。
また近年の高齢化社会に伴い、判断能力が不十分な人の大多数が高齢に伴う痴呆症が原因であると言われています。

■「後見・保佐・補助」とは何ですか?

「成年後見制度」では、これまでの「禁治産・準禁治産」を「後見・補佐・補助」の3種類に改めました。
これまでの禁治産とは、「心身喪失の常況にある者」、準禁治産とは、「心身耗弱者及び浪費者」とされていました。
改正法の後見とは「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」、
保佐とは「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者」、
補助とは「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者」
と定義され、浪費者が完全に成年後見の対象から除かれました。
又、身体障害者は後見、補佐、補助のいずれの対象にもなっておりません。

■「後見開始の審判」とは?

「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」については、家庭裁判所は、
申し立てにより、後見開始の審判を行います。
後見開始の審判を受けた者を「成年被後見人」といい、「成年後見人」の監督に服することになります。


■誰が「後見開始の審判」申立てをするの?

後見開始の審判申立てをすることができるのは、
「本人」、「配偶者」、「四親等内の親族」、「未成年後見人」、「未成年後見監督人」、
「保佐人」、「保佐監督人」、「補助人」、「補助監督人」、「検察官」です。

成年後見制度においては、市町村長も申立権者に加えられました。
また、後述の任意後見契約が登記されている場合には、「任意後見受任者」、「任意後見人」、「任意後見監督人」も
後見開始の申立てをすることができます。


■申立てはどのようにするの?

最寄りの家庭裁判所より後見開始申立書の用紙と説明書をもらい、
説明書をよく読んだ上で記入します。その他、申立てに当って必要なものは以下の通りです。

<申立てに当って必要なもの>

申立書 説明書に従い必要事項を記入したもの
収入印紙 800円(申立書に貼る)
郵便切手 金額はケースによって異なります。約3,000円
登記印紙 4,000円
添付書類 ●申立人の戸籍謄本1通
●本人の戸籍謄本及び戸籍附票各1通、
●同上、成年後見に関する登記事項証明書
(東京法務局の発行するもの)
●診断書
●成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票及び身分証明書
(市町村長の発行するもの)各1通
●同上、成年後見に関する登記事項証明書(東京法務局の発行するもの)

申立書等の提出先は、後見開始の審判を受ける方の住所地を管轄する家庭裁判所です。


■申立て後の手続きは?

申立てを受けた家庭裁判所では、調査官が調査を行う他、家事審判官が審問を開いて、直接本人や
成年後見人候補者に会って、申立ての実情や本人の意思などを聴く場合があります。
又、必要に応じて、本人の判断能力について鑑定を行うなどした上で、本人の生活する上で必要となる援助の内容、
及び、財産の内容等に応じて、ふさわしい方を成年後見人に選びます。


■後見開始の審判には費用はいくらかかるの?

申立ての際には、収入印紙(800円)、郵便切手(約3,000円)、登記印紙(4,000円)
の合計約7,600円〜8,000円です。
その他、原則として本人の精神状況について医師その他適当な者に鑑定を依頼するための費用が、
5万円〜10万円程度かかります。

※資力が乏しい方については、財団法人民事法律扶助協会が行う民事法律扶助(平成18年度中に
運営主体が日本司法支援センターに変更される予定)による援助(申立代理人費用の立替えなど)
を受けることができる場合があります。


■成年後見人は何をするの?

成年後見人の権限は主に以下の通りです。

権限 主な内容
本人の財産に関する法律行為の代理権及び管理権 ●預貯金の管理や払い戻し
●不動産などの財産の処分(売買や賃貸など)
●介護契約や施設の入所契約の締結及び解除など
本人の行った行為の取消権
(ただし、日常生活に関する行為は除く)
日常生活行為:
●日常の食料品や衣類の購入
●公共料金の支払い
●そのための預貯金の払戻しなど
(ただし高額な衣類やブランド品の購入は除く)



■「任意後見契約」の意義は?

今までは、本人が元気で判断能力がある段階で、急に判断能力が欠ける状態となった後の財産管理
や身上監護を、第三者に依頼しておくための確たる制度がありませんでした。

以前でも、第三者との間で委任契約を結んでおくと、本人が判断能力を失った後でも、委任契約の効力は
存続すると考えられていました。
しかし、この委任契約の場合には、委任を受けた者の財産管理などを監督する機関がありませんでしたので、
安心して委任契約を結ぶことができず、現実にもその利用はごく一部の人に限られていました。

そこで、新たに任意契約に関する法律が制定され、本人の意思にそった契約を結び、本人の判断能力が
欠ける状態になった場合には、家庭裁判所などが、その受任者の事務を監督することにしたのです。


■「任意後見契約」とは?

任意後見契約とは、「委任者が受任者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況
における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委任に係る
事務についての代理権を付与する委任契約であって、・・・・任意後見監督人が選任された時からその効力
を生じる
旨の定めがあるもの」をいいます。(任意後見契約法2条1号)

また、任意後見契約は、重要な事項について定める契約であるために、契約内容の確実を期すために、
公正証書によってしなければなりません。(任意後見契約法3条)
公正証書作成の費用は、契約の内容を問わず、一律に1万1,000円です。

任意後見契約の公正証書が作成されると、公証人が登記所に嘱託して、任意後見契約の登記がされます。
(後見登記法5条)
この登記嘱託手数料として1,400円、登記印紙代として4,000円がかかります。


■任意後見監督人の選任申立てはどうやってするの?

任意後見契約を結んだ本人が、精神上の障害によって判断能力が不十分な状況にあるときには、
本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者は、家庭裁判所に、任意後見監督人の選任申立
をすることができます。

家庭裁判所は、本人の判断能力が不十分と認めるときには、任意後見監督人を選任します。
(任意後見契約法4条1項)
任意後見監督人の選任には、本人の申立て又は同意が必要ですが、本人がその意思を表示
することができないときには、本人の同意は必要ありません。(任意後見契約法4条3項)

申立ての添付書類の中に、任意後見監督人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書等が記載されていますが
申立て時に、任意後見監督人候補者がいない場合には、この候補者に関する書類は添付する必要がありません。

また、申立ての時点で本人の診断書等は必要ありませんし、医師の特別な鑑定も必要ありません。
任意後見監督人は、任意後見人の業務を監督し、定期的に家庭裁判所に報告します。

■「任意後見人」はどうゆう仕事をするの?

任意後見契約の公正証書では、任意後見人が行う代理権のリストがあります。
本人はこのうちからどの範囲の代理権を任意後見人に与えるかを決めることができます。
ここで重要なことは、任意後見人はあくまで、本人の代理人として法律行為を行うだけで、
介護等の事実行為を行うことはないということです。
介護や医療行為自体を行うのは、ヘルパーや医師などになるわけです。

≪代理権目録リスト≫
財産の管理・保存・処分等に関する事項 A1■甲に帰属する別紙「財産目録」記載の財産
   及び本契約締結後に甲に帰属する財産
   (預貯金[B1・B2]を除く。)
   並びにその果実の管理・保存
A2■上記の財産(増加財産を含む。)及びその果実の処分・変更
  ■売却
  ■賃貸借契約の締結・変更・解除
  ■担保権の設定契約の締結・変更・解除
  ■その他(別紙「財産の管理・保存・処分等目録」記載の通り)
金融機関との取引に関する事項 B1■甲に帰属する別紙「預貯金等目録」記載の預貯金
   に関する取引(預貯金の管理、振込依頼・払戻し、
   口座の変更・解約等、以下同じ。)
B2■預貯金口座の開設及び当該預貯金に関する取引
B3■貸金庫取引
B4■保護預り取引
B5■金融機関とのその他の取引
  ■当座勘定取引
  ■融資取引
  ■保証取引
  ■担保提供取引
  ■証券取引(国債、公共債、金融債、社債、投資信託等)
  ■為替取引
  ■信託取引(予定(予想)配当率を付した
   金融信託(貸付信託)を含む)
  ■その他(別紙「金融機関との取引目録」記載の通り)
B6■金融機関とのすべての取引
定期的な収入の受領及び費用の支払に関する事項 C1■定期的な収入の受領及びこれに関する諸手続
  ■家賃・地代
  ■年金・障害手当金その他の社会保障給付
  ■その他(別紙「定期的な収入の受領等目録」記載の通り)
C2■定期的な支出を要する費用の支払及び
   これに関する諸手続
  ■家賃・地代
  ■公共料金
  ■保険料
  ■ローンの返済金
  ■その他(別紙「定期的な支出を要する費用の支出等目録」
   記載の通り)
生活に必要な送金及び物品の購入等に関する事項 D1■生活費の送金
D2■日用品の購入その他日常生活に関する取引
D3■日用品以外の生活に必要な機器・物品の購入
相続に関する事項 E1■遺産分割又は相続の承認・放棄
E2■贈与若しくは遺贈の拒絶又は負担付の贈与
E3■寄与分を定める申立て
E4■遺留分減殺の請求
保険に関する事項 F1■保険契約の締結・変更・解除
F2■保険金の受領
証書等の保管及び各種の手続に関する事項 G1■次に掲げるものその他これらに準ずるものの保管
及び事項処理に必要な範囲内の使用
   ■登記済権利証
   ■実印・銀行印・印鑑登録カード
   ■その他(別紙「証書等の保管等目録」記載の通り)
G2■株券等の保護預り取引に関する事項
G3■登記の申請
G4■供託の申請
G5■住民票、戸籍謄抄本、登記事項証明書その他の
行政機関の実行する証明書の請求
G6■税金の申告・納付
介護契約その他の福祉サービス利用契約等に関する事項 H1■介護契約(介護保険制度における介護サービスの
利用契約、ヘルパー・家事援助者等の派遣契約等を
含む)の締結・変更・解除及び費用の支払
H2■要介護認定の申請及び鑑定に関する承認又は異議申立て
H3■介護契約以外の福祉サービスの利用契約の
締結・変更・解除及び費用の支払
H4■福祉関係施設への入所に関する契約
(有料老人ホームの入居契約等を含む)
の締結・変更・解除及び費用の支払
H5■福祉関係の措置(施設入所措置等を含む)
の申請及び決定に関する異議申立て
住居に関する事項 I1■居住用不動産の購入
I2■居住用不動産の処分
I3■借地契約の締結・変更・解除
I4■借家契約の締結・変更・解除
I5■住居等の新築・増改築・修繕に関する請負契約の締結・変更・解除
医療に関する事項 J1■医療契約の締結・変更・解除及び費用の支払
J2■病院への入院に関する契約の締結・変更・解除及び費用の支払
■A〜J以外のその他の事項 (別紙「その他の委任事項目録」記載の通り)
以上の各事項に関して生ずる紛争の処理に関する事項 L1■裁判外の和解(示談)
L2■仲裁契約
L3■行政機関等に対する不服申立て及びその手続きの追行
L4・1任意後見受任者が弁護士である場合における次の事項
L4・1・1■訴訟行為(訴訟の提起、調停若しくは保全処分の申立て又はこれらの手続きの追行、応訴等)
L4・1・2■民事訴訟法第55条第2項の特別授権事項(反訴の提起、訴えの取下げ・裁判上の和解・請求の放棄・認諾・控訴・上告、復代理人の選任等)
L4・2■任意後見受任者が弁護士に対して訴訟行為及び民事訴訟法第55条第2項の特別授権事項について授権をすること
L5■紛争の処理に関するその他の事項(別紙「紛争の処理等目録」記載の通り)
復代理人・事務代行者に関する事項 M1■復代理人の選任
M2■事務代行者の指定
以上の各事務に関連する事項 N1■以上の各事項の処理に必要な費用の支払
N2■以上の各事項に関連する一切の事項



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Last Update:2005/12/30

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