*創作の森KUPUKA 掲載作品

晩秋の雨の日の光景


ひさしぶりに 雨の朝だ


紅 黄 茶 緑

思い思いの色をした 木々の合い間 山の中から

雲が立ち昇り 灰色の空へと還っていく


もう秋も終わりかな ほのおも色褪せてきた


今日の雨は とても静かに

木々から色葉を絡めとり

ひとつになって 落ちていく


人はなぜ 紅葉に心うばわれるのだろう


塀を覆う 蔦の葉は紅く

溝を流れる 落ち葉も黄色い

いつも目に入らないものが そこに在ることに驚く


色あざやかだから うつくしいと思うのだろうか


七竈が 真っ赤な実をつけている

隣の山茶花にも たおやかな桃色の結晶

雨粒が降りるのは 瑞々しい常緑樹の葉


そうか いつもと違うから 目に留まるんだ


くるくると回る 色とりどりの傘が

うら寂しい晩秋の坂道に 愉快な気持ちを運ぶ

水たまりを避ける足どりは 軽やかなステップ


人が紅葉を愛でるのは 「変化」ゆえになのか


車で出かける父親に こどもが手を振る

(パパ、いってらっしゃーい)

玄関先には その手のようにすべらかな シクラメンの花


普段は紅く 秋に「緑葉」するとしたら どうだっただろう


肩をすぼめ 急ぎ足で

景色の横を 素通りする時にも

(あ、いつもと違う)

そう 感じる時がある

寒いのに ふと顔を上げてしまう

そんな 瞬間がある

「変化」という美しさには

引力があるのかも しれない


ひさしぶりの 雨の朝には

いろんなことを 考えてしまうものだ




雨の日。

気が向くと歩いて学校へ行きます。
住宅ばかりが目につく、40分の道のり。

自転車の時には「寒い寒い」としか
考えられないのに、なぜか徒歩だと
いろいろと見たり感じたりしています。

ふしぎ…。

詩・コメント by真緋香 (しき)

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