落ち葉の匂い
風に流されて 頼りなげに舞い
やがて 土の上で寄り添いあう
落ち葉
遠い あの林の中でも
同じように 落ち葉は
雨のように ただ静かに降り続け
雪のように 積もっていくのだろう
土の中に そっと埋めた
小さな命の なきがら
その上にも 落ち葉は吹き寄せられて
かわいた音を 立てているのだろう
あの子が どこにいるのか
ますます わからなくなって
しまったかもしれない
「なにか目印 つけないの」
「子どもに 荒らされるから」
尋ねた私に ぽつりと答えた
その手で小鳥を埋めた弟
落ち葉のしめった匂いが 流れてくる
遠いあの林の 息づかいだろうか
涙のように しっとりとして
かなしくて せつなくて かなしくて
わらうことなど 思いもつかないような
かなしい 匂い・・・
あの子の眠る林に 想いを馳せながら
秋空を見上げていると ふと
黄緑や緑色した羽を 思い出した
あの美しい羽色は 土の中でも
褪せることなく見る者を照らしている
あの愛らしい声色は 林の中でも
そこに生きる命を励ましている
そんな様子が 落ち葉色の秋空に映った
小さな命のなきがらが
多くの命のうつわに与えるのは
力や 光や 生命なのだということ
その神秘的な矛盾にも 気付かないまま
悲しんでばかりいた
もう会えない命の行く先が
どこだと言われようと 信じられないけれど
生きることを終えた命が
その次には 生かすために
よりいっそう輝くのだということは
信じられる気がする
かなしい匂いを 感じながら
遠いあの林に満ちているだろう輝きを
どこかわらにもすがる思いで
信じていれば いつかは
かなしみは ほほえみに 変わるだろうか
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13年間、家族として暮らした小鳥の、死。 その後1年間、落ち葉のように積もり続けたかなしさは、 雪のように融けはしませんでした。 今でも、手帳に入れた写真に指先が触れるたびに、 一枚、また一枚と落ち葉が積もっていきます。 ときに我を忘れて泣き叫びたくなるような どうしようもない衝動を抑え、平穏な心で、 あの子の永遠の幸せを祈ることができるようにと 思いながら書き上げました。 詩・コメント by真緋香 (しき) (創作の森KUPUKA 投稿作品メニューページ) 「めぐる季節色」 トップページへ |