森林環境税に関する意見

森林環境学習研究会(5/27 県自然保護協会主催)に参加しての感想・意見

石川町 阿部武(元郡山高等学校教諭)

 県の事業は水源地域の森林整備が主となるが、今までの報道では人工林の保全を主に考えているらしく、自然林や県内にある42%を占める国有林の有効活用については全く触れられていない。国と協力して県民のためにこの基金を有効に使ってほしいと考えている。
 県の森林審議会の答申によると、「県民一人一人が参画する森林作り」を掲げているが、森林振興税的な観点が大きく出ていて自然保護の観点が弱いように思う。また、この答申に対する県民の意見に回答する県の考えも、過去の森林行政のまずさを直視し、その反省にたったものとは考えられない安易な回答も多く、環境税を払う福島県民の一人としてこの基金の有効利用の手立てを考えたい。
 2006年5月27日に郡山自然の家で実施された県自然保護協会主催の森林環境学習研究会で、横田清美氏の講演内容に関し考えたこと。講演で使用されたスライド写真はどれも適切な写真で説得力があり、このままでも十分環境学習、森林環境学習に使えると思う。スライドを見ながら考えたことを以下にまとめてみました。
1 松食い虫の問題
要旨;浜通りの被害がひどい。南湖公園は空中散布を予定。健康被害が心配である。
〇昔は枯れたアカマツはすぐ伐採され燃料などに有効利用されてきたので、松食い虫被害があったとしても目立たなかったと思われる。
〇対策;媒介するマダラカミキリを捕食するキツツキなどを増やす。これは昔からいわれていたが、そこためにはかなり広い広葉樹の森が必要だし、キツツキが餌をとる立ち枯れ木も必要である。アカマツの銘木は性質や寿命から考え、代わりの若木を植樹することで対応するしか方法はないと思う。
2 ツル植物の問題
要旨;林業家はツル植物を悪者として駆除。ツルを利用し、実を利用する文化もあり、野生動物にとっても重要な役割を持つ。
〇用材確保という観点からはツル切りは必要な行為だが、用材を得る目的がなければ野鳥の生息や野生動物のためには残した方が豊かな森になると考えられる。
3 水源涵養保安林
要旨;皆伐により水源涵養の役目がなくなっている。すぐ植林してもその機能はすぐには回復しない。針葉樹の植林地は保水力が弱く、階層構造が発達せず、自然が豊かな森林とは言いがたい。
〇山の保水力を残したまま、野生動植物に影響があまりでない森林の伐採は出来ないのか? いや、出来る。皆伐をやめて必要な樹木を切り出すやり方(選別伐採)がある。皆伐に比べて手間がかかるが、野生動植物保護、土壌流失阻止、保水力維持を図りつつ有効材を得る賢い林業経営がこれからは重要であろう。
4 間伐の方法
要旨;用材確保だけでなく、周りの動物にも気配りが必要。
〇植林地では樹木が低い間は下草刈りなども必要だが、広葉樹も林間に残して一緒に育てないと、栄養塩類不足で目的の樹木の生育も悪い。落葉樹の葉は腐敗し、栄養となり、保水力の維持をし、樹木の生育を支えていることに目を向けたい。広葉樹が植林したスギやヒノキの間にあることで、野鳥などの生息場所も確保され、用材を荒らす害虫の駆除にも役立っている。このように植林地でも落葉樹を混ぜることで野生動植物が豊かな、多様性のある植林地を発達させることが可能である。
5 現在の林業
要旨;大型砂防ダム、皆伐、大規模林道。いずれも経済優先で自然破壊が進んでいる。
〇この林業経営が現在の林業不振を引き起こしてきたと見ることが出来る。多くの国有林が伐採され、跡地にカラマツの植林がなされてきたが、ほとんどの場所でこの事業は破綻している。パルプの原料として貴重な自然林が伐採されている現状を認識すべきである。大規模林道で山が荒れてしまう。経済最優先の考え方から脱却し、森を広く国民の財産ととらえ、有効活用を模索すべきある。国有林は林野庁の財産ではない。福島県では野生動植物を広く県民の共有財産と考え、条例を制定して保護保存活動を展開しているが、この考え方を森林にも適用すべきである。森林を国有林民有林を問わず、県民全体の共有の緑の財産として保護し有効活用することがこれからの林業のあるべき方向と考えられる。今回導入された森林環境税もこの趣旨で活用されるなら多くの県民からの支持が得られると思う。
6 スキー場やゴルフ場の問題
要旨;スキー場開発で必要以上の土壌の攪乱が行われ土砂が流下した。
〇赤面山スキー場は閉鎖され、ゲレンデは土砂崩れが起こり、崩壊が始まっている。開発業者は倒産し、ゲレンデの回復は全く進んでいない。スキー場開発を許可した自治体にも責任の一端があると思う。国立公園に隣接する場所なので元のブナ林とまでは行かないにしてもせめてミズナラ林ぐらいには戻してもらいたいと思う。自然に森林が回復する(遷移が進む)のをヒトが手助けをしてそのスピードを増す方策はいくらでもあるように思う。
 日本の気候条件では降水量が多いので高山草原を除き、本来「草原」は存在しない。草原となるのは過度な放牧や毎年の草刈り、火入れなど外部からの草原維持の外力がないと維持できない。ゴルフはイギリスが発祥地だとか言うが、イギリスは日本と違い植林などで努力しないと森林は育たず、放置すればほとんどが草原となる気候条件である。そこで発達したゲームを日本に持ち込むのだから無理が生じる。絶え間なく草刈りと除草剤の使用で何とか草原を維持しているわけで虫も鳥もいない人工の環境となってしまっている。いかにも自然の中でゲームを楽しんでいるように見えるが、よく考えればあまりに人工的非自然の環境の中にゴルフ場があることに気が付いてほしい。使われた除草剤は河川に流入し海に入り、やがてプランクトンや魚を通してあるいは空中に飛散して地球環境を汚染し続けている。生きるためには我々ヒトも食物連鎖の環からはずれるわけにはゆかない。虫を殺すつもりで使った殺虫剤が、手間を省くために使った除草剤が巡り巡って自分の首を絞めていることに早く気づくべきである。薬品会社が合成して売った量の除草剤、殺虫剤は地球上で分解されることなく残存していることになる。
 一方、赤面山やリゾートスキー場、御霊櫃峠などは標高はそれほど高くないが、強風地帯で一度低木林が破壊されると回復には長い年月を要する場所がある。また、浄土平も植生回復実験がなされているが強風と低温凍結のため成功していない。開発には事前に十分な調査が必要であることを物語っている。開発者は仕事が終わった段階で元の植生を回復する義務があると思う。
7 河川整備の問題
要旨;岩瀬村の河川整備とビオトープがあまりにお粗末。
〇護岸工事で自然な河川が失われている。日本の農耕地は江戸時代の始めまでにほぼ完成している。戦後、開墾で増えた耕地もあるが、無理な開墾で多くはあまり成功していない。安積開拓は成功した。その成功の原動力、要因は何かを分析して、今後の河川整備に生かす必要がある。水田耕作に必要な水を猪苗代湖に求め安定かつ大量に確保したことにその成功の元があると考えられる。流量が常にコントロールされた豊かな流れがあることになる。
 自然の河川では流量は一定せず、台風時には氾濫し、日照りのときは枯渇する過酷な環境である。しかし、上流に豊かな森が存在すれば、安積疎水と同様に常に豊かな水が供給されることになる。森林が発達した山は緑のダムとして猪苗代湖にも劣らぬ水瓶としての機能を十分に発揮してくれるはずである。その森林も今のような人工林ではダメで階層構造が十分発達した自然林でなければならない。
 河川工事では五十年に一度や百年に一度の洪水を予測して護岸工事をするというが、河川の生物のためには頑丈な護岸の内側に今まで通りの流れが必要である。現在の技術があればこの程度の工事は可能であり、外側はがっちり洪水を防ぎ、内側に清流を残し野生生物の生息を可能にする環境をつくれる。内側の生物のための川は昔からの芝木を使う粗朶など伝統工法で対処すればいい。
 河川を農業用水路としてしか見ない狭い見方をやめ、野生動植物の生息の場としての河川を今一度見直し、トンボやホタルが飛び、メダカやドジョウが泳ぐ昔の小川を取り戻すことで、心豊かな生活を取り戻せるように思う。また、この小川で魚を追いかけたりシジミ取りなどの川遊びの文化を次世代に伝えてゆると考えられる。子供たちから「何でこんなのつくったの」とか「ちっとも楽しくない」と言われるような付け焼き刃の河川改修はしたくないと思う。五十年先を見越した本物の河川改修をやってほしいと思う。将来のために知恵を出し金を出し労力を惜しまないことが良いものを残せ、長く役に立てると思う。
8 間違えた自然保護
要旨;竹林はタケノコを採らないと暴走する。資源を適切に利用することで共存可能。
〇江戸時代までは農山村では自給自足の生活が普通であった。衣食住を自然の素材に求め、里山と農耕地を有効に使い上手に豊かに暮らしていた。今一度、自然の素材を見直し、利用してゆくことが森林に関心を持ち、ひいては森林保護、自然保護につながるように思う。
 以上思いつくまま、まとめました。研究会のレジュメにある「重要と思われる森林環境学習テーマ」(※1)のかなりの部分を含んでいると思います。勉強不足で説得力に欠ける展開の部分もありますが参考にしてください。どんどん意見を出してゆかないとあらぬ方向に環境税が使われそうで心配です。

(※1)重要と思われる森林環境学習テーマ
@森林環境破壊のしくみ
A森林との付き合い方(自然保護に配慮した利用、持続可能な利用など)。
B植物資源の多様な活用方法と近年植物資源があまり使われなくなった原因。
C石油製品に頼る生活様式から脱却する必要性。
D林業が低迷している理由と打開策。
E自然破壊を伴う近代林業の現状と改善策。
F多様な動植物がすめる森づくりの方法。
これらを総合的に学べば、様々な環境問題の解決に必ず役立つと思われる。効果的な学習方法を具体化することが今後の課題である。

【参考資料】〜研究会レジュメより抜粋〜
昨年11月に開かれた環境教育研究会において、参加者から森林環境学習のあり方について様々な意見が出された。
次の@〜Eはその意見。
@ 森林組合職員や教員を教育する方が先決である(自然保護に関する知識が乏しい)。
A 人の暮らしと結びつけて環境にやさしい利用を学ぶべきだ。
B 林業体験で行う「手入れ」は環境保全になるとは限らない(逆効果の場合もある)。
C むやみに植樹すると生態系に悪影響を与えるのでルールづくりが必要だ。
D 体験活動は目的を明確にしておかないと何のための活動か分からなくなる。
E 林業が低迷する理由や自然破壊を伴う近代林業の現状を学ぶことも重要だ。


要 望 書

2006年2月16日

福島県知事 佐藤栄佐久殿
福島県教育委員会教育長 富田孝志殿

福島県自然保護協会会長 星一彰

                             

森林環境学習の中身の見直しを求める要望

 県は森林環境税の導入に伴い、18年度から森林環境学習の推進事業を実施しようとしています。この事業は小学校等の高学年の児童等を対象に、森林と人との良好な関係を取り戻す手立てについて学習する機会を提供するというものです。県は森林環境学習を教育課程に導入するよう小学校等に働きかけ、導入する学校等には助成を行う予定です。
 さて、この学習を通して児童らが将来直面する環境問題を自らの力で解決できる能力を養っておくことが必要です。学習を進めるにあたっては、重点を置くべき学習課題を明確にし、かつ効果的な学習方法を採用すべきと考えます。
 重点を置くべき学習課題は、自然破壊のしくみ、あらゆる植物資源の多様な活用方法、植物資源があまり使われなくなった理由、石油製品に頼る生活様式から脱却する必要性、林業が低迷している理由と打開策、自然破壊を伴う近代林業の現状と改善策、多様な生物がすめる森づくりの方法等であり、これらを総合的に学べば、将来、様々な環境問題の解決に必ず役立ちます。また、限られた授業時間でいかに効率よく有用な知識を児童らに身につけてもらうかも重要課題です。効果的な学習を行うには自然保護教育の専門家による教育技術面での協力が不可欠と思います。
 ところが、県が示した学習指導案は先にあげた重要な学習課題の多くがカリキュラムに入っていません。林業の知識や自然遊びをテーマにしたものばかりが目立ちます。具体的には人工林の間伐、炭焼き、きのこ栽培、木工クラフトなどの体験が中心で、授業時間の大半はこのような作業等に費やされます。環境問題を総合的に捉えて学ぶという大事な視点が欠けているように思います。
 つきましては、県に対し、森林環境学習の中身(特に学習課題と学習方法)を早急に見直し、改善されるよう要望いたします。


意 見 書

2005年2月15日

福島県知事
佐藤栄佐久殿

福島県自然保護協会会長 星一彰
日本野鳥の会南会津支部支部長 長沼勲
あだたらを知る会代表 三村達道
博士山ブナ林を守る会代表 東瀬紘一

県民一人一人が参画する森林づくり(案)の改善に関する意見書

 福島県は森林の持つ公益的機能(良質の水を育み、洪水や渇水を緩和し、二酸化炭素を吸収して地球温暖化を防ぐ働きなど)を持続的に確保するため、事業の財源として県民から新たな税(森林環境税)を徴収することを検討していますが、県が想定している事業(※1)は不可解かつ不十分な取り組みであり、県民として了承することはできません。
 ついては、私たちは福島県知事に対して、以下のとおり改善案を申し述べます。

1、水質汚濁、洪水や渇水、土砂災害、二酸化炭素の増加、生態系の破壊等を引き起こす最大の原因は森林伐採や開発行為である。道路拡張や土地造成等に伴う森林破壊は勢いが止まらず、皆伐を伴う林業行為は後を絶たず、増え続ける産廃処分場建設は県民の健康を脅かしている。森林伐採や開発行為を抑止する事業を盛り込むべきである。

2、県が想定している事業内容は、森林の公益的機能確保への寄与度があまりにも低い。設定した目的とそれに向けての取り組み内容をすり合わせする必要がある。
 例えば、目的はそのままで、事業案に「森林伐採や開発行為を抑止する取り組み」を盛り込むか、もしくは、事業案はそのままで、目的を「森林の整備」や「林業の復興」に改め、税の呼称も「林業復興税」などと変更することを検討すべきである。

3、森林と人との共存関係を形成するには、森林資源の価値を見直すだけでなく、森林資源の需要拡大を図る抜本的な改革が必要である。そのためには「森林資源とそれに競合する製品等との格差を是正する事業」が不可欠である。
 例えば、森林資源と競合する製品で特にゴミになるものや環境によくないものに対して環境税を課す方法などがある。

(※1)県が想定している事業
@森林環境学習の推進(指導者の育成、学習プログラムの作成など)。
A森林文化の復興(先人の知恵や技術の継承、全国への情報発信など)。
B森林ボランティアへの支援(ネットワークの強化など)。
C森林環境の適正な管理(緊急に整備する森林に対しての支援など)。
D農山村の活性化支援(山村体験留学受入れ、新たな定住支援など)。
E森林産業創出支援(森林療法や木炭などを生かした起業の支援など)。

NPOエコシステムのホームページに関連記事が載っています。
「森林環境税に意義あり」


2005年1月12日

福島県農林水産部森林計画グループ御中

横田清美 電話 090-9422-9357
郡山市安積町日出山3-225-3

森林環境税「県民一人一人が参画する森林(もり)づくり(案)」に関する意見

【該当箇所1】
 森林の持つ良質で豊富な水の供給や土砂流出等災害の防止その他の公益的機能の発揮を将来にわたって持続的に確保するため、森林と人との関係を見直し、森林所有者や林業の枠組みを超えた「県民一人一人が参画する新たな森林づくり」の仕組みを構築し、その財源として県民の皆様から新たな税のご負担をいただきながら、森林の適正な保全に努めます。
【意見1】
 森林の持つ公益的機能を保全するには、まず問題点を把握し、重要度や緊急度に応じた取り組みが必要である。リゾート開発や大規模伐採が下火となった現在では、過剰な道路開発、皆伐を伴う林業行為、大規模土地開発、産廃処分場建設等が森林の公益的機能を阻害する大きな要因になっている。道路開発はほとんど公共事業によるもので、全体的にみて森林破壊の比率が高い。特に林道整備は希少野生生物の生息地破壊・分断、源流に近い谷川の破壊、ゴミの不法投棄などが深刻だ。案はなぜかこれらの問題にほとんど触れられていない。
 県は森林づくりの仕組みの構築を重視しているようだが、森林破壊が刻一刻と進んでいる最中に、スギの間伐や森林学習をのんきにやっている場合ではない。県は森林の公益的機能を守るほんの一部の仕事をしようとしているのであって、案に書いたことだけやっていたら森林破壊は止められない。森林破壊を止められないような森林環境税では同意しようがない。造林しているから問題ない(森林破壊してもいい)という理屈も当然通らない。よって、案に「森林破壊や水源地破壊を招く過剰な道路開発、皆伐を伴う林業行為、大規模土地開発、産廃処分場建設等への監視や指導
(規制も含め)を強化します」を書き加えるべきだ。
 ところで、森林には国有林、民有林、自然林、人工林など様々なタイプの林があるが、県がいう森林とはどの森林を指しているのか。
 県の森林面積(約97万ha)の4割は国有林(約41万ha)だ。国有林は林野庁が私たち国民の税金を使って管理しているが、なぜ県が同じような仕事をしなければいけないのか。国有林管理の予算が足りないのであれば、それは国の予算の中でやりくりすべき問題だ。新税を使って国有林を保全することには同意できない。
 県の森林の6割を占める民有林(約56万ha)のうち約34万haは自然林だ。自然林(雑木林)は中高木が密生していれば、林が荒れていても水源涵養や土砂災害防止等の機能はある程度保たれる。たとえ放置しても自然淘汰によっていずれ健全性はよみがえる林だ(ただし、荒れた雑木林を適切に手入れすればより早く生物多様性を高めることはできる)。また自然林育成のための植林もあまり意味を成さない
(大掛かりな植林は地域固有の生態系を破壊し、遺伝子をかく乱する恐れがあるので慎むべき)。つまり、自然林(雑木林)は必ずしも人が手助けしなくてもよい林です。よほど特殊な事情がない限り、自然林(雑木林)を緊急に手入れする必要はない。
 残る民有林の人工林は約20万haあります。これは県の森林の20%に過ぎず、これを全部手入れしたからといって森林の公益的機能が守られるとはいいがたい。県のいう森林とはいったいどの森林を指しているのか。

【該当箇所2】
 森林づくりの目標や基本理念を明確にするため「森林文化の郷里ふくしま県民憲章(仮称)」を制定します。<中略>県民憲章にうたうべき理念についての御意見をいただくなど、憲章づくりの段階から広く県民の皆様に参画していただきます。県民憲章の実践を確実にするため、具体的な行動計画を策定します。
【意見2】
 県や支援ボランティアなどが行っている森林整備の多くは、生態系保護の視点が欠如しており、希少野生動植物の生息地破壊や生物相の単純化などの問題を引き起こしている。森林保全は単に用木を守るだけでは不十分であり、「多様な生物が暮らせる環境の創出と、あらゆる生物資源の持続的利用を目標とした整備」を付け加えたい。
 雑木林の手入れは「過度の環境改変を避けるために抜き切り(すかし切り)を原則とする」「鳥獣の住みかとなるよう林内にやぶや枯れ木を適度に残す」「生物多様性を高めるために階層構造の林にし、いろんな種類の樹木を残す」「樹木の更新を念頭において幼木や低木を適度に残す」といった配慮が必要であり、これを付け加えてほしい。なお、森林の整備や保全の仕方は森林タイプによって異なるので注意したい。

【該当箇所3】
 森林の役割や森林文化を広く県民に理解していただき、森林(もり)との共生関係を形成するため、森林環境学習の場としての森林管理や指導員の養成、学習プログラムの作成に取り組み、全ての児童が森林環境学習を受けられる体制を整備するなど学校教育と生涯教育の視点で条件を整備します。
【意見3】
 環境学習は広い視野に立ち、人と自然のかかわりや自然破壊のしくみなどを総合的に学ぶことが大事なので、森林をテーマにした学習や林業知識だけでははなはだ不十分です。「森林環境学習」ではなく、広い意味の「環境学習」とすべきだ。
 共生とは「いっしょに生活すること」「二種の生物が互いに利益を交換して生活すること」という二つの意味がある。森林は生物とは言わないので「森林との共生関係」というのは誤りだ。この誤った使われ方は今全国的に広まってしまった。正しくは「共存」(二つ以上のものが同時に存在すること)と書くべきです。
 環境学習の指導者養成は、環境NGOや法人などによって県内外ですでに活発に行われており、いまさら県が力を入れる必要はない。林業指導者を養成したいのなら、それは林業関係の予算から工面すべき問題だ。学習プログラムはその道の専門家に聞いたり、過去に出版された多数の文献を参考にしたりすれば済む話であり、予算は要らないし、削除してもよい。「すべての児童が森林環境学習を受けられる体制を整備する」とあるが、誰もが分かりきっていることなので削除し、「学校教育と生涯教育における環境学習を充実させる」でよいのではないか。

【該当箇所4】
 森林を保全しながら有効に利用するための知恵や技術、生活様式など先人の暮らしや労働の中で育んできた森林文化を生かした森林づくりを進めるため、森林文化を発掘し、保存や承継に取り組む県民の活動を支援するとともに、それを県内はもとより全国に発信します。
【意見4】
 森林活用の知恵や技術、生活様式など先人の暮らしが育んできた森林文化を、保全、継承することは大いに賛成です。ただ、それを県民活動の支援だけで実現しようというのでは本当の森林文化復興は期待できない。
 現代日本人は身近な森林から恩恵を受けている実感がない。それなのに税金を負担しろというのはむごい。家の台所を見渡しても木や竹でできた製品はほとんどなく、プラスチックやステンレスに代わっている。薪や炭はほとんど使わなくなったし、食卓にのぼる魚や肉は近くの森林で採れたものではなく、外国から輸入したものばかり。まずは人と森林の関係性を少しでも取り戻すため努力が必要だ。
 人々の関心が森林資源に向くためには、森林資源と競合する商品(特にゴミになったり環境を汚したりする商品)に環境税を課すなどして格差をなくさないといけない。案に「森林資源と競合する商品との格差を是正する事業」を盛り込むべきです。

【該当箇所5】
 全国に誇る水環境や安全で快適な生活環境を保全するため、県民生活に密着し、緊急に適切な管理を実施する必要のある区域について、森林を保全するための計画を策定し、森林所有者と自治体が皆伐を行わないなどの協定を締結した森林の整備に対して支援します。
【意見5】
 緊急に適切な管理を実施する必要のある区域は、急傾斜地にある荒れ果てた人工林を指すと思われるが、こうした場所は次々に砂防ダムができ、生態系に大きなダメージを与えている。砂防ダム建設に頼る方法は認められない。森林整備に対して資金提供する場合は、林業収益を差し引いた額を補てんする形(援助金)にすべきだ。そうしないと公益性が疑われる。
 意見1でも述べたが、森林破壊が刻一刻と進んでいる最中に、人工林の手入れだけしても森林の公益的機能は保全されない。案に「森林破壊や水源地破壊を招く過剰な道路開発、皆伐を伴う林業行為、大規模土地開発、産廃処分場建設等への監視や指導
(規制も含め)を強化する」と付け加えるべきだ。

【該当箇所6】
 山村の住民による森林管理が持続して行われるよう優れた自然景観や豊富な農林水産物、卓越した技能などを生かした山村活性化への取組み、山村体験留学受入れ等の取組み、森林管理に必要な専門知識や技術の習得と新たな定住化を支援します。
【意見6】
 森林管理の担い手定着を願う気持ちは分かるが、地域おこし的な支援の仕方は一過性のイベントに税金をばらまくだけで終わる恐れがある。また、厳しい経営を強いられる林業界では新たな定住が難しいことを踏まえ、資金援助は慎重に考えるべきだ。

【該当箇所7】
 循環的な森林資源の利用を活発化するため、森林療法(森林セラピー)など森林の癒しの効果や木炭の環境浄化の効果等、森林や木材等が持つ多様な機能を活用した新たな「森林産業」の創出を支援します。
【意見7】
 木材需要を増やし、また森林資源化を期待する気持ちは分かる。しかし、森林の癒しの効果等の機能を活用した新たな森林産業が軌道に乗る保障はない。指導するだけならよいが、先行き不透明な事業に投資することは認められない。

【その他意見】
 これ以上森林を壊さない(何もしない)ことが公益的機能を保全する最良の方法であり、ナショナルトラスト(土地買い取り)でもしない限りお金がかからないと思う。ボランティアが主体となって行う森林保全事業も多額のお金が要るとは思えない。この森林環境税をいったい何に使おうとしているのでしょうか。

ナチュラリスト横田清美事務所のホームページに森林環境学習関連の記事が載っています。
 「福島県の森林環境学習」


ご意見、ご質問等がありましたら右下のメールアドレスにお便りください。


yokota.nature@eagle.ocn.ne.jp

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