「ジャーク将軍も死んだ・・・」
マリバロンは、力なく答えた。
「愚か者!ジャークごときの死を悲しんでいるときではないっ!」
「・・・!」
今までのダスマダーとは違う、と思った。ダスマダーは表情ひとつ変えていない。何か近寄りがたい雰囲気をマリバロンは感じていた。ダスマダーは続けた。
「怪魔界は今滅びようとしているのだ。一年後、いや半年後、間違いなく怪魔界は崩壊し、宇宙の彼方に消え去るであろう。マリバロン、事を急がねばならぬぞ!」
「我ら二人ではどうすることもできぬわ・・・」
最後の手段を相談するしかない。
「この上はクライシス皇帝にお出ましを願い、RXを打ち倒して頂かねばならぬ・・・」
「マリバロン、地獄谷にある我らが地下要塞に、RXを招待しろ」
「招待?」
マリバロンの言葉に、ダスマダーは黙ってうなづいた。
(ラウ・ル・クルーゼ・・・使えるかと思ったが・・・やはり、偽りの記憶で脳改造したのでは、その程度だったか・・・)
クルーゼは、あの世界で死んでいた・・・。その亡骸を使い、脳改造を施した・・・。傀儡として操るように・・・。しかし、既に滅んでいた亡骸は、改造手術をもってしても完全に蘇らせることはできず、前より力を落とし、敗れ去る結果となった・・・・。
−避難所−
ライダー達は、ここで、支援部隊と共に、負傷者の手当てや周囲の警戒を行っていた。
今はテントの中で、これからの方針について話し合いが行われていた。
「・・・様子を見てから移動した方がいいですね」
「ええ、ここもいつクライシスがやってくるかわからないし・・・」
『きゃああああああああああっ!!!』
「なんだっ!?」
そのとき、外から悲鳴が聞こえ、全員が一斉に外へ飛び出した。
そして、悲鳴の先へ向かうとジャップを引き連れたマリバロンの姿があった。
「マリバロン!」
「南光太郎、私は、今日はクライシス皇帝の特使としてここに来た」
「クライシス皇帝が、俺になんの用だ?」
「皇帝は、お前と一対一の会談を望んでおられる」
「!?」
「会談は、我らの地下要塞で行う。受ける勇気があるのならば、ついてくるがいい」
「・・・マリバロン、クライシス皇帝の会談に応じよう。案内してくれ」
「光太郎、これはきっと罠だぜ!」
「いや、いやしくもクライシスの皇帝だ。卑怯な真似はしないだろう。それに俺は、クライシス皇帝に会ってみたい。どんな人物なのか・・・どんな顔をしているのか・・・この目で見てみたい・・・マリバロン、行くぞ」
マリバロンは、頷き移動を始め、光太郎は、それについて行った。
「このまま行かせていいのか?」
「無論、ついて行くさ」
「ラン、頼む」
「うん」
「そうか、ランは、力を感知する力があったな」
「それを使って、辿っていくわけですね?」
「そうだ」
「行きましょう!」
地下要塞。マリバロンが南光太郎をともなってやって来た。光太郎はチャップ兵に厳重に囲まれながら、マリバロンの後を歩く。マリバロンの足は、皇帝の像の前で止まった。
入り口近くの岩陰には、変身したライダー達が、息を潜めて隠れていた。
「クライシス皇帝陛下・・・」
マリバロンの声に答えるように、皇帝の像の目が赤く光った。皇帝の像は大きな顔だけだった。その顔から、何本も触手が伸びている。宮殿の御簾の奥に映る影と同じものだ。
「命令によりマリバロン、南光太郎を連れてまいりました。」
「クライシス皇帝!南光太郎、招待を受けてやってきた…話を聞こう!」
光太郎は、皇帝の像を見上げて言った。
『南光太郎にして、仮面ライダーブラックRX!』
その像からだろうか、どこからか声がする。光太郎は気配を伺った。
『余は怪魔界の支配者にしてクライシス帝国の皇帝である。』
威厳に満ちた口調だ。声は、像から聞こえてくる。
『余はそちを地球上に並ぶものとていない勇者と認め、ここにクライシス帝国最高位の《サー》の称号を贈る。』
「おっと待った!お誉めにあずかって光栄だが、俺はあんたからどんな位ももらう気はないね。さっさと会談を始めようぜ」
『余はそちの力と能力を誰よりも評価しておるぞ。余はそちに地球の支配を任せても良いと思っておる』
「俺が地球の支配者に!?」
『そうだ。クライシス帝国最高司令官として地球を支配し、君臨するのだ』
「お待ち下さい、皇帝陛下!我らが宿敵である光太郎に最高司令官の地位を与えるなど、皇帝陛下のお言葉とも思えません!」
マリバロンは、声を上げた。
『黙れ、マリバロン!余の言葉に逆らうか!』
「たとえ皇帝陛下のお言葉でも、それだけは従えません!こうなれば、私のこの手で!」
マリバロンは、そういうと、光太郎に襲い掛かった。しかし・・・・
『愚か者!そちの役目は終わった!』
皇帝の像の口から赤い光が槍のように飛び、マリバロンに刺さり、消滅させた。
「マリバロン・・・・」
『光太郎、返答やいかに?』
「・・・俺が望む地球は、ありとあらゆる生物と自然が調和し、共に生きて行く地球だ・・・。地球に支配者など必要ない!必要なのは、地球を愛する心だけだ!」
『光太郎、もう一度たずねる。地球の支配者になり、地球に君臨する気はないか!?』
「ないっ!ばかげた話だ!」
『・・・ならば、そちは名もない一人の若者としてこの世を去ることになるであろう』
皇帝の像の目が怪しく光り、その光の中から、ダスマダーが現れた。
ダスマダーは、ゆっくりと光太郎に近付く。
「ダスマダー!」
「南光太郎!会談は決裂した。クライシス皇帝の命により、ここを貴様の墓場とする!」
ダスマダーの抜く剣が鈍く光る。チャップ兵が彼を護衛する。
「みんな、きてくれたのか!」
「異形の戦士共!6人ライダー!!お前達が来ることは、承知の上だ・・。まとめて地獄へ送り届けてくれる!!」
ダスマダーの号令と共に、チャップ兵が襲い掛かってきたが、あっけなく撃退された。
すると、ダスマダーは大きく剣を振った。まるでそれが合図であるかのように、地下要塞にクライス要塞が飛び込んできた。その衝撃で地下要塞が揺れた。
「光太郎! 仲間と共に地獄に送り届けてやる!」
再び、ダスマダーは剣を振る。兜から緑色の光線が飛んだ。
「逃げるんだ!!」
崩れていく中、光太郎の声がこだまし、地下要塞は、完全に崩れ落ちた。
−クライシス要塞−
「ふふふふふ・・ははははは!!南光太郎を倒したぞ!これで地球はわがクライシスのものだ!」
だが、次の瞬間、ダスマダーは背後に気配を感じて振り返った。そこには、何者かが立っていてゆっくりとダスマダーの元へと歩いてきた。
「貴様は・・・」
その姿が、やがて光に照らされはっきりと見えた。
「・・・RX!」
RXは、光を背にうけ、ダスマダーに近付く。
「俺は太陽の子、仮面ライダーBLACK RX!ダスマダー、いや、クライシス皇帝!地球の平和を守るため、俺は何度でも蘇る!お前との決着をつけるまで!」
「私もクライシス五十億の民のため、死ぬわけには行かぬ!」
ダスマダーは剣を抜いた。
RXは素手でダスマダーに立ち向かっていく。ダスマダーの剣をとり、ダスマダーとRXは組み合った。RXはダスマダーの目を見据えて言った。
「クラシイス!おまえ達の地球での数々の悪巧み、許すわけにはいかん!」
「それは薄汚いおまえ達人間どもが自分自身の手で行って来たことだ!」
「何!それはどういうことだ!?」
「RX、怪魔界の本当の姿を見れば分かる!」
「既にこの要塞は怪魔空間に突入し、怪魔界に向け進んでいる」
「あの星は・・・」
光太郎がその映像で見た者は、青く光る惑星だ。
「あの星こそ我らが祖国・怪魔空間だ!」
ダスマダーが言う。
「あんな星は見たことがない・・・」
「そんなはずはない!RX、よく見てみろ!」
画面の一部が、ズームアップされた。光太郎は、それを見て、驚愕の声を上げた。
「あれは日本列島・・・!バカな!何故あの星に日本列島があるんだ!?」
その光太郎に、ダスマダーは言う。
「我らが祖国・怪魔界は地球の影だ!」
「何だって・・・!?」
「いや、影というより双子の星と言っても良いだろう。・・・我らが怪魔界は長い間地球とバランスを保つことによって生き延びて来た。まさに運命を共にして 来たと言っても良いだろう。だが、ここに来てそのバランスが崩れた!人間共は驕り高ぶり地球の環境を破壊して来た。その皺寄せが総て怪魔界に押し寄せて来 た。地球の汚染物質が怪魔界を覆い尽くしてしまったのだ!」
「待て!怪魔界が衰えたのは、クライシス皇帝の横暴な政策のためだ!」
「黙れ!最大の理由は愚かな人間共の地球破壊があったればこそだ!怪魔界は猛スピードで崩壊に向かっている。RX!われらが五十億の民と共に地球に移りすむのを人間共は反対出来るのか!」
リボルケインを取り出し、ダスマダーと剣を交える。
RXのリボルケインがダスマダーの首筋を討つ。痛みに耐えながら、ダスマダーもRXの脇腹に刃を入れた。相打ちだ。
「RX!お前はRXの塵となれ!」
レーザーが過熱したのか、要塞が爆発する。それでも、ダスマダーはRXから剣を離さない。
爆発のショックで、二人はそのまま怪魔界の異次元空間にワープした。
RXはリボルケインを構えた。ダスマダーの体が青白く光った。断末魔の雄叫びをあげる。
「お前は!」
『RX、余は怪魔界の支配者にしてクライシス帝国の皇帝である。余を追い詰めたその執念、見事だと誉めてとらそう。うぬの五体、バラバラに引き裂いてくれよう!』
巨大な顔から触手が伸びた。その触手には、ダスマダーの使っていた剣が握られていた。そして、触手の一本がRXを捕らえた。RXは、迫り来る剣にリボルケインで応戦する。
リボルケインで、絡みついた触手を斬ると、皇帝は、額の三面から、怪光線を発射した。その攻撃は、RXを直撃し、後方へと吹っ飛ばした。
RXは、すかさず跳びあがり・・・・
「RX・・・キイイイイイイイックッ!!!」
RXキックを放ったが・・・・・
「無駄じゃ!」
皇帝は、前方にバリアを張り、その攻撃を跳ね返した。
「どうすればいいんだ・・・・どうすれば・・・・」
RXは、皇帝を倒す術を模索した。
「あのバリアさえ破れれば、皇帝を倒せるのに・・・」
『その役目は・・・』
『俺たちが引き受けよう』
その声と共に、RXの後ろの方から、6人のライダーが、駆けつけてきた。彼らは、あの地下要塞から脱出した後、RXと共にクライシス要塞に潜入していたのである。
「みんな!!」
「来たか、仮面ライダー達よ!」
「みんなのライダーパワーを集めて、バリアを破壊するんだ!」
「よしっ!」
「RX!最後は、任せるぞ!」
「ああ!」
6人のライダーが、皇帝を半円状に囲む・・・。
「ライダーパワー全開!!」
「ライダーパワー全開!!」
「アームパワー全開!!」
「T-LINKライダーパワー全開!!」
「V3・・・逆ダブルタイフーン!!」
「タイフーンブラスター!!」
5人のライダーのベルト
ライダーマンのアーム
それぞれから、放たれた強大なエネルギーが、バリアに直撃した・・・。
パリーンッ!
「ぬう!」
限界を超えたバリアは、ガラスのように砕け散った。
「とあっ!!」
RXは、その隙を逃さずに、皇帝に突っ込み、リボルケインを突き刺した。
すると、周りの風景が変わり、地球の・・・・ライダー達が立花籐兵衛に特訓をつけてもらっていたトレーニング場に来ていた。
「仮面ライダー・・・余に勝ったと思うな!」
「!!」
「人間共が、地球を汚せば、新たな怪魔界が生まれ、地球を襲うであろう!」
RXは、リボルケインを引き抜いた。
「全ては・・・・お前たち人間共の罪じゃああああああああ!!!」
その言葉とともに、皇帝は、爆発し完全に消え去った。
そのとき、ライダー達には、どこかでもッと大きな爆発が起きた音を聞いたような気がした・・・・・・
数時間後、皇帝死んだ場所には、7人のライダー・・・・
仮面ライダー一号・・・本郷猛
仮面ライダー二号・・・一文字隼人
仮面ライダーV3・・・風見志郎
ライダーマン・・・結城丈二
仮面ライダーBLACK RX・・・南光太郎
仮面ライダーNEO・・・桐山昌夜
仮面ライダーZERO・・・村松零慈
そして、彼らを育てた立花籐兵衛が、そこにいた。
「・・・終わったな・・・・ショッカーから始まった・・・長い戦いが・・・・」
「・・・確かに奴らは滅んだ・・」
「でも、まだこの世に把握がはびこっている」
「悪と戦い・・・」
「正義を愛し・・・」
「人界を守ることが・・・・」
「俺達、仮面ライダーの使命です」
「・・・そうだな・・・」
籐兵衛は、ライダー達の方を見た。
「これからも頼むぞ、仮面ライダー!!」
仮面ライダー・・・その名は、彼らのかかわった世界で伝説の存在となった。
そして、次のような言葉が、語り継がれていく・・・・・
・・・・・時代が望む時、仮面ライダーは必ず蘇る・・・・・
そして、2000年の仮面ライダークウガに繋がる……………訳無いですね^^
漸くクライシスとの決着が着いて、残るは……何が居たかな(マテ
そろそろエピローグですかねぇ?
追記:この作品は1991年の個人誌発行、2000年に「とぜんなか帳」に転載された佐原千恵子さんの『木犀の夜明け』とは無関係ですので『とぜんなか帳』にお問合わせ等しないようにお願いします。