私たちはほとんどの子宮筋腫は「子宮動脈塞栓術 -UAE-」の良い適応であると
考えていますが,特に次のような場合に優れた選択肢・可能な選択肢であると考えています。


とにかく切りたくない方:UAEはいわゆる外科手術ではありません。お腹を切る必要はまったくありません。
腹腔鏡手術の場合でも,通常お臍の下以外に小さい傷が2箇所以上残りますが,UAEでは右足付け根に注射針を刺すだけですので,
注射痕は数日で消えてしまいます。美容上の理由はもちろん,仕事の関連で開腹をしたくないという方が増えています。

子宮を温存したい方:子宮は女性の象徴とも言うべき大切な臓器。たとえ出産という重要な役割が終了したとしても
温存できるものならしたいのは当然です。膣式手術はお腹を切らない摘出方法ですが,子宮をすべて摘出することに変わりはありません。
UAEなら子宮をそのまま温存することが可能です。筋腫は動脈からの栄養が絶たれますので,壊死(えし)し、しぼんでいきます。
そのため,筋腫にともなう嫌な症状は劇的に改善します。生理は今まで通り続きますが、とても軽くなります。

粘膜下筋腫:子宮の内側に突出する筋腫です。過多月経を起こすことが多いのが特徴です。
症状は初回月経から劇的に改善することが期待でき,縮小率もきわめて良好です。壊死した筋腫に感染が起きる可能性が
5%程度ありますが,適切な処置を行うことにより解決します。したがって,注意深い術後管理が重要です。時には,壊死した
筋腫がまるごと外に出てしまうことがあります。うまく出てしまえば,手術を行うことなくすべて摘出したことになります。

頚部筋腫:子宮の下部(子宮頚部)に発生するタイプで,摘出手術が難航したり尿管・膀胱・直腸を傷つけたりすることがあります。
UAEは筋腫の発生部位に関係なく効果が期待できます。

手術既往のある方:虫垂炎・卵巣の手術・筋腫核出術・帝王切開などの手術後の癒着を予想することはできません。
摘出手術では思わぬ癒着により難航する場合があります。尿管・膀胱・直腸を傷つけたりすることもあります。
摘出手術自体が難しいほどの癒着があってもUAEに支障はありません。

全身合併症を有する場合:手術そのものより麻酔や術後管理にリスクが考えられます。UAEでは全身麻酔は行いませんので,
そのリスクを心配する必要がありません。術後も全身状態はきわめて安定しています。

巨大な筋腫:おへそを超えるような大きな筋腫でも効果が期待できます。ある程度縮小すれば圧迫症状が改善します。
万が一,縮小効果が不充分で摘出術を行う必要が生じたとしても出血量を減らすことができるため本来なら難しい手術を
容易にすることにつながります。

変性した筋腫:血流が増加した変性が起こっているタイプでは高い効果が期待できます。ただし,高度の変性を
持つ筋腫と子宮肉腫との鑑別を充分行う必要があります。この点において婦人科医と放射線科医との協力が不可欠です。

尿症状など圧迫症状でお困りの方:増大しつつある筋腫がわずかに縮小した時点から症状が改善します。
尿閉(一時的に尿が出ない)が起こるほどひどい場合でも改善が期待できます。

筋腫と症状との関係が不明な方:症状が典型的でなく,摘出手術では確実な症状の改善が確約できない場合,医療を行う
側も手術に消極的です。UAEなら効果があるというわけではありませんが,やり直しのきかない摘出術とは違うので安心です。

宗教上の理由:輸血の可能性はまずありません。

子宮腺筋症:全摘以外に根本的治療法のない子宮腺筋症に対しても一定の効果が報告されています。
ただし,術後数年以内に症状が再発する例が20%程度あるとされています。

未婚の方:たとえ妊娠の希望がなくても子宮喪失に対する抵抗があるのは当然です。全摘を行えば当然妊娠の可能性は
なくなります。妊娠の希望が強ければ,核出術が行われることが多いのですが,具体的な妊娠予定がある状況でなければ
手術にふみきれないものです。UAEで当面の症状を改善し,筋腫が縮小して妊娠が可能になることが期待できます。妊娠の
必要が生じた時,(死んだ)筋腫が妊娠の妨げになる可能性があれば,その時点で核出術を考えることができます。その場合,
死んだ筋腫からの出血は少ないことが期待できるので手術を容易にすることにつながります。

多発性筋腫:ぶどうの房状の筋腫で核出術が困難な場合,UAEではそれぞれの筋腫に対する効果が期待できます。
妊娠希望があって核出術が不能な場合には子宮を温存できる優れた救済方法になります。

将来の妊娠をご希望の方:UAE後の妊娠例の報告は確実に増加しています。全摘後の妊娠は絶対に望めませんが,UAEにより
妊娠の可能性を残すことができます。核出術との比較は現時点ではデータがありませんが,「挙児希望はUAEの適応除外とは
ならない」と結論付けた外国論文も出ています。このため,国内の多くの施設が,説明した上で希望があれば挙児希望者にも
UAEを行っていくという方向にシフトしています。少なくともUAEを行ったために妊娠への悪影響が出る証拠もないのです。
UAE後の無月経(卵巣機能不全)の報告もありますが,閉経間近の方以外にはまれな合併症です。核出術予定が全摘になる
ことだってありますし,術後癒着で不妊になることだってあります。それらと比較してUAEのリスクが決して高いということは
ありません。これは,UAEをすれば妊娠できるということでは決してありません。妊娠の可能性が残るとお考えください。 UAEは
妊娠希望の方にこそ行われるべき治療法であると私たちは考えています。核出術との比較検討は個別に行います。

当センターにてUAE後すでに多くの方の妊娠例があります。

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